司法書士の仕事と交通事故について

司法書士というと、そもそもそんな職業が存在することを知らないという人や、不動産関係の仕事をされている方で知っていても、司法書士って登記が仕事でしょ?という方も多く、あまり交通事故で司法書士がどのように役立つかを知らないという方も少なくありません。

そこで、今日はあまり知られていない、司法書士の仕事と交通事故の関係について解説します。

 

f:id:arakinblog:20190121172036j:plain

そもそも司法書士の仕事とは?

交通事故と司法書士の関係について触れる前に、司法書士の仕事について確認しておきましょう。

司法書士の仕事については司法書士法第3条や司法書士法施行規則にて次のような業務が対象になると定められています。

①登記又は供託手続の代理

②(地方)法務局に提出する書類の作成

③(地方)法務局長に対する登記、供託の審査請求手続の代理

④裁判所または検察庁に提出する書類の作成、(地方)法務局に対する筆界特定手続書類の作成

⑤上記1~4に関する相談

⑥法務大臣の認定を受けた司法書士については、簡易裁判所における訴額140万円以下の訴訟、民事調停、仲裁事件、裁判外和解等の代理及びこれらに関する相談

⑦対象土地の価格が5600万円以下の筆界特定手続の代理及びこれに関する相談

⑧家庭裁判所から選任される成年後見人、不在者財産管理人、破産管財人などの業務

一部内容が分かりにくいものもあるかと思いますが、簡単に説明すると、次のような仕事が司法書士の仕事になると書いてあるのです。

・土地や建物の登記に関する業務

・会社や各種法人の登記に関する業務

・相続・遺言に関する業務

・成年後見に関する業務

・債務整理に関する業務

・裁判に関する業務

引用元:日本司法書士会連合会

これを見て頂けると、登記というのは実は司法書士の仕事の一部に過ぎず、司法書士の仕事は範囲が広いことがお分かり頂けるかと思います。

弁護士ほど全ての法律業務を取り扱うことはできませんが、日常で起こる法律的な問題についてはかなりの範囲を司法書士であればカバーすることが可能です。

 

交通事故と司法書士の関係

さて、先ほど説明した業務内容には交通事故は入っていませんが、司法書士も交通事故に関する相談を受けることが可能です。その根拠は、前述の⑥です。

司法書士のうち認定司法書士は簡易裁判所での事件の代理人になることができます。そのため、簡易裁判所に係属する事件であれば、司法書士はその代理人になるために相談業務を受けることが可能になるわけです。

 

簡易裁判所に係属する事件は?

上でも記載がありますが、簡易裁判所に係属する事件というのは請求額が140万円以下である必要があります。そのため、これを超える金額のものについては、残念ながら司法書士は受任できません。

この場合には弁護士を紹介するようにしています。

 

司法書士へ相談するメリット

行政書士にも交通事故の際に相談することは一つの選択肢になるでしょうが、司法書士に相談することのメリットはなんといっても、その後の裁判も踏まえて相手方と交渉できることです。これは、行政書士はできない業務になるため司法書士または弁護士に頼むことの最大のメリットと言えます。

裁判を踏まえた上での交渉となるため、示談金も保険会社が使っている基準ではなく、それより高額になることの多い裁判基準での示談金の算定を求めるように請求が可能です。そのため、保険会社が提示した示談金より金額が上がることが期待できるのです。

 

また、費用についても弁護士費用特約が使えるケースが多く、費用倒れになるといった心配もしなくてすみます。

また、仮に保険会社との交渉がうまくいかず裁判になったとしてもそのまま裁判を担当することも可能です。

このように司法書士であれば一つの事故について最後までフォローすることが可能というのは大きなメリットです。