司法書士が受任可能な簡易裁判所の事件について

裁判所で行われる事件については代理人は原則として弁護士が行います。他方で、簡易裁判所に係属する事件については、司法書士も受任が可能になっており、こうした受任が可能なことが司法書士の交通事故に関する業務を受けることができる根拠となっています。

しかし、簡易裁判所と聞いてもピンと来る方というのはかなり法律に詳しい方に限られるでしょう。

そこで、今日は簡易裁判所の事件について解説していきます。

 

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簡易裁判所とは?

簡易裁判所とは、日常的に発生する法律問題を簡易・迅速に解決するために設置された裁判所です。全国438カ所に設置されており、最も身近な裁判所とされています。

日常的に発生する法律問題などを解決することを目的にした裁判所なので、扱える事件が限定されているというのがその特徴です。

 

;簡易裁判所で取り扱われる事件について

簡易裁判所で扱われ事件は以下のものになります。

①訴訟価額が140万円以下の請求(行政事件訴訟に係る請求を除く)

②罰金以下の刑(他には拘留、科料)にあたる罪

 

他方で、司法書士が扱うことができるものについては以下のように定められています。

“簡易裁判所において取り扱うことができる民事事件(訴訟の目的となる物の価額が140万円を超えない請求事件)等について,代理業務を行うことができます。 

簡裁訴訟代理等関係業務とは,簡易裁判所における(1)民事訴訟手続,(2)訴え提起前の和解(即決和解)手続,(3)支払督促手続,(4)証拠保全手続,(5)民事保全手続,(6)民事調停手続,(7)少額訴訟債権執行手続及び(8)裁判外の和解の各手続について代理する業務,(9)仲裁手続及び(10)筆界特定手続について代理をする業務等をいいます。“

(法務省ホームページより抜粋)

 

したがって、上記の①と②のうち、司法書士が扱うことができるのは①のみになります。なお、請求額が140万円以下になる民事事件であれば上記に該当することになるので、例としては貸金を請求する場合や、交通事故の示談金を請求する場合、代金の支払いを求める場合などがあげられます。

 

その他の簡易裁判所の特徴

簡易裁判所は前述の通り、簡易迅速な解決のために設置されているものなので手続きについてもいくつか特別なルールがあります。

①訴えの提起は口頭で可能

普通の裁判所は訴え提起の際に裁判所に書面を提出する必要がありますが、簡易裁判所の場合には必要ありません。

 

②請求の原因は紛争の要点を明らかにすれば良い

これは少し分かりにくいかもしれませんが、普通の裁判では訴えを提起する側で訴えの内容の根拠を示し、どのような請求をしているのか裁判所に示す必要があります。例えば、貸したお金を請求するのであれば、いついくら貸したお金なのか、支払期限はいつだったのかなどしっかりと特定しなければいけません。

こうした点について訴える側の負担を軽減するために設けられているルールです。

 

司法書士なら誰でも受任可能?

さて140万円以下の示談金請求なら司法書士には誰にでも任せて良いかというとそんなことはありません。

受任可能なのは認定司法書士と呼ばれる法務大臣の認定を受けたものに限定されます。これ以外の司法書士に頼んでも、裁判の代理人になることはできないので示談金について交渉することはできません。

なので、交通事故について司法書士に相談する際には必ずその司法書士が認定司法書士なのかと言う点については必ず確認しておきましょう。

 

交通事故に遭った際には専門家へ相談しましょう

交通事故に遭った際には、ケガなどによって精神的にも肉体的にもダメージを受けます。そのため、示談金について保険会社との交渉を行うというのは負担が重すぎます。

示談金の額が上がることも考え、司法書士や弁護士などの専門家に相談しましょう。