交通事故と逮捕の関係にてわかりやすく解説

先日判決が出た池袋での交通事故の事件では、加害者が逮捕されなかった事についてインターネット上では、加害者の社会的地位が高いこと、いわゆる上級国民であることを理由に逮捕されなかったのでは無いかといった意見や批判が飛び交っていました。 しかし、交通事故の加害者も含めて被疑者は必ず逮捕されるのでしょうか?本記事では逮捕と交通事故特に、池袋の事件についてふれつつ解説していきます。

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逮捕の目的や要件について

逮捕というのは被疑者の身体拘束を行うことですが、では逮捕は何のために行うのでしょうか? 一般的には逮捕を刑罰の一種のように捉え、事故を起こしたのに逮捕されないなんておかしいと言う人も言いますが、それは逮捕という制度への誤解に基づくものです。 逮捕というのは被疑者の逃亡や罪証隠滅を防ぐことを目的として行うものです。したがって、刑罰のように利用するためのものではありません。 そして、逮捕の目的が逃亡や罪証隠滅を防ぐことであることから、逃亡や罪証隠滅のおそれが無い場合には逮捕は必要性が無く、認められないという結論になります。 まずはこの点をおさえておきましょう。

逮捕の種類と要件

そんな逮捕には大きく分けて3つの種類があります。 ・通常逮捕 ・緊急逮捕 ・現行犯逮捕 通常逮捕というのは、最もオードソックスな逮捕手続きで、令状にもとづいて行われる逮捕です。逮捕というのは、被疑者の身体を拘束する行為ですから、移動の自由などを含めた被疑者の権利を大きく制約する行為になります。こうした行為が適切に行われるように、また誤認逮捕などがされないように裁判所が発行する令状にしたがってなされることを要求しているのです。 逆に令状が無くてもできるのが緊急逮捕と現行犯逮捕です。緊急逮捕は事後的に令状の発付を受けるのですが、現行犯逮捕は令状が必要ありません。ただし、現に犯罪がなされていることを確認した上で行うことなどが要求される例外的な逮捕となります。これは、逮捕する人が現場を見ているので、誤認逮捕の恐れなどが無いため、令状が無くても可能となっているのです。

池袋の事件と逮捕

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池袋に事件では多数の被害者が出た交通事故の案件でした。したがって、運転現場にいた被疑者を現行犯逮捕することは可能と言えるでしょう。しかし、被疑者は相当高齢で社会的地位があることなどを考えると逃亡のおそれは少ないでしょう。また、証拠隠滅しようにも現場の証拠はその日のうちに警察が持ち帰っており、証拠隠滅の危険性も低いといえます。 こうした事情から被疑者は逮捕されなかったということがいえるでしょう。決して上級国民だったからではありません。