交通事故の被害者となり、後遺障害が認定されると、後遺障害による逸失利益の賠償を受けることができます。
この記事では、後遺障害による逸失利益とは何かについて解説したうえで、具体的な算定方法についても解説していきます。
後遺障害による逸失利益とは
後遺障害による逸失利益とは、交通事故で後遺障害を負ったことにより、失われた、将来得ることが見込まれていた利益のことを言います。
つまり、後遺障害を負わなければ得られたであろう収入総額と、後遺障害を負った状態で得られる収入総額との差額のことです。
たとえば、後遺障害を負わなければ年間500万円の収入が見込まれていたのに、後遺障害を負ったばかりに3年間は年間400万円の収入しか見込めないという場合の逸失利益は、年間100万円×3年間=300万円となります。
後遺障害による逸失利益の算定方法
後遺障害による逸失利益の算定方法について見ていきます。
基本となる計算式
後遺障害による逸失利益を算定する基本となる計算式は次のとおりです。
基礎収入×労働能力喪失割合×喪失期間のライプニッツ係数
以下では、それぞれの項目について詳しく解説します。
基礎収入
基礎収入は、被害者の職業などにより算定方法が異なりますが、基本的には、休業損害における基礎収入に準じたものとなります。
ここでは、それぞれの職業ごとに基本的な算定方法を紹介します。
- 給与所得者~事故直前3か月間の平均収入
- 事業所得者~事故直前の申告所得額
- 会社役員~役員報酬のうちの労務提供の対価部分
- 家事従事者~学歴系・女性全年齢平均賃金
- 無職者~就労の蓋然性がある場合には、年齢や失業前の実収入から蓋然性の認められる範囲
- 幼児、学生~学歴計・全年齢平均賃金
労働能力喪失割合
労働能力喪失割合とは、後遺障害によって、労働能力がどの程度の割合で失われるのかという数値です。
労働能力喪失割合は、労働省労働基準局通牒を基準としつつ、障害の部位・程度、被害者の性別・年齢・職業などを総合的に考慮して決定されます。
参照:労働省労働基準局通牒
労働能力喪失期間
労働能力喪失期間とは、どの程度の期間、労働能力喪失割合に応じた労働能力が失われるのかというものです。
原則として、未就労者については、18歳から、現に就労している者については現在の年齢から67歳までの期間が労働能力喪失期間となります。
ただし、むち打ち症の場合には、67歳までではなく、後遺障害の等級に応じて、12級であれば5年から10年、14級であれば2年から5年が労働能力喪失期間とされます。