交通事故による慰謝料などの具体例

今回は、具体的な事例をもとに、どのような賠償を受けることができるのかを解説していきます。

 

事例

Aさん(30歳・会社員・年収500万円)は、自動車を運転中、赤信号で停車した際に、後方から進行してきた車両に追突され、頚椎捻挫などの怪我を負った。

その後、Aさんは、病院での通院治療を継続し、6か月後に症状固定の状態となり、後遺障害12級の認定を受けた。

 

治療費

この事例でAさんは、症状固定までの通院で発生した治療費の賠償を受けることができます。

通常、治療費は、保険会社から病院などに直接支払われるため、Aさんが示談の際に治療費を直接受け取ることはありません。

なお、Aさんが症状固定後に通院した場合の治療費は自己負担となります。

 

交通費

Aさんが通院のため公共交通機関を利用していた場合、その料金を交通費として受け取ることが可能です。

自動車で通院していた場合には、距離に応じて計算されたガソリン代が交通費となります。

タクシー代は原則として認められません。

 

入通院慰謝料

6か月間の通院実績に応じて通院慰謝料が支払われます。

通院慰謝料には3つの算定基準があります。最も高い基準である裁判基準では、頚椎捻挫によるむち打ち症で6か月通院した場合の通院慰謝料は89万円です。

 

後遺障害慰謝料

後遺障害12級の後遺障害慰謝料は、自賠責基準で224万円、裁判基準では280万円となります。

 

後遺障害による逸失利益

Aさんの年収は500万円であるため、Aさんの基礎収入は500万円となります。

後遺障害12級の労働能力喪失率は、14%です。労働能力喪失期間は、頚椎捻挫によるむち打ち症の場合、67歳までではなく、5年から10年の範囲内となりますが、ここでは7年として計算します。

30歳から37歳まで7年間に対応するライプニッツ係数は、6.2302です。

これを計算式に当てはめると、

 5000000 × ( 14/100 ) × 6.2302 = 4,361,140円

となり、後遺障害による逸失利益の金額は、4,361,140円となります。

 

まとめ

今回の事例で、Aさんは、通院慰謝料89万円、後遺障害慰謝料280万円、後遺障害による逸失利益約436万円と、この3項目で合計805万円の賠償を受けることができます。

 

しかし、この金額はあくまで弁護士など専門家に交渉を依頼した場合の最大限の金額です。同じような事例で、自身が提示された金額と大きな開きがある場合には1度弁護士などの専門家へ相談されることをおすすめします。