交通事故でケガをしてしまった人の中には、一定期間が経過しても治らず後遺症が残ってしまう方がいます。
前回の記事でも解説しましたが、このようにケガが完治せずに後遺症が残った場合、一定の要件に当てはまるケースを「後遺障害」と呼びます。
自動車保険の損害賠償を算定する際にはこの後遺障害に当てはまっていることが重要で、その基準となる後遺障害の状態を細かく分類したものが「等級」です。
今回の記事では後遺症がどの等級に該当するかを決める「等級認定」について詳しく解説いたします。
[等級認定ってなに?]
上述の通り、後遺症の状態を細かく分類したものが等級です。
16等級・142項目に分けられています。
『介護を要する後遺障害』
- 2等級に分類
- さらに4項目に細分
その他の『後遺障害』
- 14等級に分類
- さらに138項目に細分
後遺症が残った場合に、症状がこの等級のいずれかに当てはまれば「後遺障害」と認定され、ケガを負ったときに受け取った治療費や慰謝料とは別に、損害賠償の対象となるのです。
そのため後遺症の状態がどの等級に該当するのか、そもそも該当する等級があるのかどうかは、交通事故の被害者にとって大きな関心事です。
[等級認定以外の「後遺障害認定基準」]
後遺障害とは交通事故でケガを負ってしまった場合に、一定期間の治療を経てもなお症状が残ってしまった状態で、以下の要件すべてに当てはまるものを言います。
- 交通事故によって受けた精神的・肉体的な傷害である
- 将来においても回復が見込めない
- 交通事故と症状固定状態の間に、相当な因果関係が認められる
- 傷害の存在が医学的に認められる
- 労働能力の喪失をともなう
- 傷害の程度が自賠責法施行令の等級に該当する
等級認定は上記「6」の要件をもとに行われますが、1~5までの要件がどの程度確認できるかによって等級区分も変わってきます。
等級認定では、自分の後遺症の状態により近い等級区分が認められることが大切です。
なぜなら、認定された等級が実情よりも軽かった場合、本来受け取れるはずの損害賠償額がもらえなくなってしまうからです。
等級認定を申請する際は、実情が正確に伝わるようしっかりと資料を準備する必要があるのです。
[等級認定の手続き方法]
後遺障害が残ってしまった場合、どの等級に認定されるかで損害賠償額に差が出てしまうのは上述の通りです。
では、損害賠償額を決める上で大切な等級認定の手続きは、どのように行うのでしょうか?
一般的に、等級認定は加害者側の任意保険会社が窓口となり、手続きまで代行してくれます。
そのため被害者側は、手続きに必要な書類や資料を揃える必要はありません。
[等級認定手続きを自分で行う権利もある]
基本的に等級認定手続きは、加害者側の任意保険会社がやってくれるため、被害者側はなにもする必要はありません。
つまり丸投げです。
でも、ちょっと待ってください。
後遺障害等級認定は、今後受け取る損害賠償額を決める大切な行程です。
それを、交通事故の相手方である保険会社に丸投げして大丈夫なのでしょうか?
自分が加入している保険会社の方なら安心ですが、相手方の保険会社の方が、認定手続きに対して積極的に動いてくれるかは疑問です。
相手方の保険会社が書類の不備や不足の確認に対して消極的、なんてケースも実際にあるようです。
もしそんな担当者に当たってしまったら、納得のできる等級認定を受けることは難しいでしょう。
そこで被害者には、自分で等級認定手続きを行う権利も認められています。
これを「被害者請求」と言います。
被害者請求は被害者側が手続きを行うため、申請内容と傷害の実情が乖離する心配がありません。
しかし必要書類の準備や立証資料を揃える作業も行う必要が出てくるため、素人だけで挑むにはハードルが高いのも事実です。
後遺障害の等級認定で「被害者請求」を考えている方は、一度専門の法律家へご相談することをおすすめ致します。