相手方に言われて...交通事故で被害届を出さないことのリスク

今日は交通事故で被害に遭った方の話を聞いていると時々耳にする、交通事故で被害に遭ったのに、加害者に言われて被害届を出さなかったというケースについてそのリスクを説明します。 先に結論から言っておきますが、加害者に言われたからといって被害届を出さないというのは絶対にやめておきましょう。  

f:id:arakinblog:20200614155647j:plain

交通事故には物損事故と人身事故がある

交通事故には物損事故という、単に物を壊しただけの事故と、人にケガをさせてしまった人身事故の2つの種類があります。 物損事故の場合、刑事処分の可能性は低いのですが、人身事故の場合には刑事処分の可能性もあり、仮に刑事訴追されなくても免許へ科される処分というのは物損事故より重くなります。 参考までにご紹介すると、一方的な不注意で全治一ヶ月くらいのケガを被害者にさせてしまった場合、9点の違反点数がつく可能性があります。この9点というのは違反歴の無い人でも30日間の免許停止処分になってしまう可能性があるほど重い処分になります。  

交通事故の現場での交渉には要注意

さて、このような処分の可能性があるとなると、日常的に自動車を運転する人や仕事に車が必須という人にとっては、運転免許停止処分というのは一大事です。仕事ができなくなることを意味するため、なんとしても避けたいところです。 また、仕事で自動車を運転する人ほど違反歴のある人が多く、今度違反したら免許停止になってしまうという人も少なくありません。 ここで、こうした加害者の立場になってあなたと交通事故を起こしたと想像してみてください。加害者としてはなんとしてもあなたに被害届を出すのを思いとどまってほしくなりますよね。 実際に、こうした事例というのは後を絶ちません。中には高額な示談金をその場で提案されたために、その要求に応じてしまう人も少なくありません。 金銭的にトクするんだから良いじゃ無いかと思う人もいるかもしれませんが、こうした事故現場での示談や交渉に応じるのは以下のようなリスクが考えられます。  

保険会社からの保険金や示談金は受け取れない

人身事故として被害届けを出さないということは保険会社からの保険金などは基本的に受け取れません。なぜなら公的に人身事故が発生したという証拠が無いからです。 したがって、こうなると加害者がちゃんと示談金を支払ってくれないと、補償は無い状態になってしまいます。  

加害者が本当にいった金額を支払ってくれるとは限らない

交通事故の現場で高額な示談金を提示されても、それを証明する方法というのは持っていない場合がほとんどです。 結局証拠が無いため、相手方改めて提示してきた示談金の額になる場合は少なくありません。  

そもそも加害者が分からなくなってしまった

f:id:arakinblog:20200507215459j:plain

最悪のケースはそもそも加害者と連絡が取れなくなってしまいケガをしただけになってしまうケースです。相手から連絡先を聞いたとしても、それが本当とは限りません。事故が起きてすぐに保険会社などに連絡すれば、保険会社を頼りに相手を特定できますし、加害者が払ってくれなくても保険会社が払ってくれます。 しかし、被害届を出さないとそれもできません。後から被害届を出せば良いと思われるかもしれませんが、加害車両も無い状態で被害届を出されても警察も対応に困るだけです。   以上のようなことから、交通事故の現場で被害届を出さないように依頼されたり示談を持ちかけられ、これに応じるというのは非常にリスクの高い行為です。どんなに良い条件をそこで持ちかけられても、それが守られるという保証はどこにもありません。 それどころか事故があったかどうかもあやふやになってしまう非常に危険な行為である事を認識しましょう。