相手が無保険の交通事故 

「交通事故に遭ったら、加害者の運転していた車は盗難車がだった。」

滅多になさそうな話ですが、「自分の車が誰かに盗まれてしまう」ということは、決して珍しくありません。

私の仲間の司法書士は、営業用のプリウスを盗まれました。冬だったのですが、事務所前の駐車場に停めたまま、車をあたためようとエンジンをかけていたところ、隙をついて乗っていかれたそうです。

またお客さんの中にも、夜中に軽トラックを盗まれた方がいます。自動車泥棒なんて、そうそう起こり得ないことのようですが、そうではないようです。

ちなみに2022年に盗まれた車は、愛知県が1番多く884台、その次に多いのが大阪府で662台ということです。この数字は盗難の届出が出ているものだけですので、届出がないものも含めると、もっと大きな数字になると思います。

被害者は誰に損害賠償を請求するの?

不幸なことに自分の車が盗難にあってしまい、その車を運転していた車泥棒が事故を起こした場合、どうなるのでしょうか?

他のドライバーの身体や財物に損害を与えてしまった場合、損害賠償の責任は誰が負うことになるのでしょうか。
まず、事故を起こしたのは車泥棒ですから、事故に巻き込まれてしまった被害者に対する損害賠償責任は、盗難車で事故を起こした車泥棒が負うことになると考えるのが一般的といえるでしょう。

持ち主の責任が問われるのはどんな時?

ただし、事故を起こした車の本来の所有者が、車の管理を適切に行っていなかった場合には、責任を負うのは車泥棒だけではありません。

自動車の所有者も、被害者に対する損害賠償責任を負う場合があります。車の管理を適切にしていなかった場合には、車を盗まれた被害者であるのはもちろんですが、泥棒に手を貸したことになってしまうかもしれないのです。

さて、車の管理を適切に行っていなかった場合とは、以下のような状態があります。

  • エンジンをかけた状態で車から長時間離れていた場合
  • エンジンはかけていなくてもキーを付けっぱなしにした状態で車から離れていた場合

  • ドアにロックをしていない状態で、第三者が簡単に車を触れる場所に車を停めていた場合
  • 車が盗まれたにもかかわらず、盗難届を警察に提出せずに放置していた場合

自動車を停めるための専用ガレージがあり、常に鍵をかけて防犯カメラやセキュリティーの対策もできるなら、それが1番良いかもしれません。しかし、それぞれの事情や状況がありますので、そこまでできない場合も多いことでしょう。

とはいえ泥棒にチャンスを与えたくないので、今できる対策はしっかりとしておく必要があります。故意や過失によって、自分の車が盗まれやすい状況を作ることがないように、十分に注意しておきましょう。