交通事故の死亡事故の場合における損害賠償について

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交通事故の中でも死亡事故は被害者が亡くなってしまうケースであり、非常に損害賠償の金額や示談金が高額になるケースが多い事故の一つです。しかし、何故高額になるのかと言った点についてお分かりの方は意外と少ないのではないでしょうか。そこで本記事では、死亡事故の際の損害賠償額や示談金額が何故高額になるのか内容に触れつつ解説していきます。

 

交通事故の損害賠償の内訳

交通事故、特に死亡事故の場合に発生する損害賠償の内容は以下のような項目になります。

①逸失利益

②死亡慰謝料

それぞれどのようなものになるか、項目ごとに見ていきましょう。

 

①逸失利益

死亡事故の中で最も大きな割合を占めるのがこの逸失利益です。被害者が生きていた場合に仕事などで得られたであろう収入を仮定して、得られなかった部分、つまり残りの人生で得るはずであった利益を損害とするというものです。

では、実際にどのような方法で逸失利益は計算されるのでしょうか。

計算式としては以下のようになります。

逸失利益=基礎収入額×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

 

生活費控除率というのは、死亡によって生活費が不要になるためその分を控除するために設けられた数値です。被害者が一家の大黒柱であったか等によって異なりますが、大体50%~30%間で計算されます。

 

最後にライプニッツ係数とは何かと思われるでしょうがこれについては非常に複雑で説明すると非常に長くなってしまうので割愛させて頂きます。一応就労可能年数ごとに保険会社などで決めた係数がインターネットなどでも公表されておりますので、詳細はそちらをご参照ください。

さて、逸失利益の計算を見て頂ければお分かりの通り、基本的にはその人の収入額に対して残りの就労可能と思われる期間をかけたものが数字の根拠になっています。

したがって、収入の高い方を交通事故で死亡させてしまったようなケースでは非常に高額な逸失利益が発生することになります。

例えば、事故当時年収1000万円、52歳の会社員が妻子を残して死亡してしまったようなケースでは、

基礎収入1000万円、生活費控除率30%、労働能力喪失期間(67歳までの年数=15年)に対応するライプニッツ係数10.380で計算されることになるため、

逸失利益=基礎収入×(1-生活費控除率)×ライプニッツ係数

    =1,0000000×(1-0.3)×10.380

    =72,660,000

つまり7266万円がこの場合の逸失利益となります。

 

②死亡慰謝料

逸失利益と並んで死亡事故の場合に大きな割合を占めるのが死亡慰謝料です。死亡慰謝料は、被害者が死亡したときに遺族の方に支払われる慰謝料です。

被害者が死んでいるのに何故慰謝料が発生するのか不自然に思う方もいるかもしれませんが、被害者の方は死亡する瞬間に強い不安感や恐怖感を感じていると考えられるので、被害者に対して慰謝料が発生すると考えられています。 こうして発生した慰謝料を遺族の方が相続するので、慰謝料請求ができると考えられています。

相続により請求することになるため、被害者と一定の関係にある親族しか請求することができません。具体的には①被害者の配偶者との子、②被害者の配偶者、③被害者の直系尊属(両親など)④被害者の兄弟姉妹等に限定されます。

 

その他の死亡事故の場合の問題

死亡自己特有の問題としては、事故の処理を進めていく必要がある一方で被害者の方の相続を進めていかなければならないという問題もあります。特に死亡から一定期間が経過してしまうと、全てを無条件で相続することになってしまうため借金などがあった場合には、予期せぬ借金まで相続することになってしまいます。

死亡事故の場合にはこうした借金問題と併せて解決する必要があるため、早い段階で専門家へご相談されることをおすすめします。