自営業者で交通事故に遭った場合の注意点

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私も含めて司法書士や弁護士と言った職業は個人事業主、いわゆる自営業者になります。こうした自営業者は交通事故に遭ってケガをしてしまうと、仕事が全くできず非常に困った状態に立たされてしまいます。

会社員の方であれば有給休暇を取得するという方法もあるのでしょうが自営業者にはそのようなものはありません。休んだら休んだ分収入はゼロです。

そこで今回は私たちのような自営業者が交通事故に遭った場合に注意すべき点について解説していきます。

 

交通事故におけるサラリーマンの場合と自営業者の違い

交通事故の被害者になった場合には、休業損害と言われる仕事を休んだことによって発生する損害を補償してもらうことが保険金や示談金などでできます。こうした休業損害はサラリーマンの方の場合には計算が非常に容易です。

というのも付きの収入額が決まっているため、そこから1日辺りの収入を計算して休んだ日数をかけることで大まかな休業損害の金額を計算することができます。

しかし、自営業の場合は売り上げが月によって変動する事も多く、たまたま仕事が忙しい時期に事故に遭ってしまったようなケースではその後の仕事への影響も考えると、簡単には算出できるものではありません。

では、自営業の場合休業損害はどのようにして算出するのでしょうか。

 

自営業者の休業損害の計算方法

まず最初に断っておきたいのですが、自営業者の休業損害について必ずこれを用いて計算すると言った方法はありません。実際に裁判になっても裁判所が様々な資料を基にその辞令において妥当と思われる方法を用いることで事案の解決を図っています。

ここでは、一番理解しやすい方法として青本と呼ばれる日弁連交通事故相談センター本部が出している「交通事故損害額算定基準」に従った計算方法を紹介します。

この計算方法は非常にシンプルで以下のようになっています。

 

「事故前年の確定申告所得額」×「365分の1」=基礎収入日額

 

つまり昨年の確定申告で出した金額を365日で割って1日辺りの平均的な収入を算出して休業損害を算定する方法です。さてこのような休業損害の計算方法を用いる場合には以下のような点に注意する必要があります。

 

固定費の算入

自営業の場合、オフィスやお店の賃貸料と言った、何もしなくてもかかる費用、つまり固定費が発生します。このほかにも固定費としてはスタッフの給与など様々なものがあります。こうした固定費についても休業損害に含めて計算することが可能です。

この計算を忘れてしまうと大きな損害に繋がってしまうので十分に注意しましょう。

 

外注に出した場合の費用

このほかにも自営業特有の損害としてあげられるのが外注に出した場合の費用です。本来自分が受けていた仕事を第三者に外注する必要が生じるケースが考えられますが、こうした外注に出す費用についても損害として認められます。

 

確定申告より収入が多い場合

これについては原則として認められないという点を考えておきましょう。もちろん収入が確定申告より多いことを立証できればこうした収入を基礎として休業損害を求めることは可能ですが、過少申告自体が違法行為のため裁判所の心証はかなり悪くなります。

基本的には認められないと考えておきましょう。

 

自営業の場合は心配事がいっぱい

サラリーマンなどの給与所得者と異なり、自営業の方が交通事故に合った場合には、心配すべき事項が多数に上ります。特に自分が休んでいる間に仕事や会社が正常に機能しているだろうかと言う点や、正しく休業損害の補償を受けられるかなど様々な点について心配になるところです。

こうした心配を解決するためにも自営業の方は交通事故に遭った際には是非専門家にご相談頂くことをおすすめします。