交通事故の損害賠償請求をするとき、認定司法書士は裁判の代理人になることができます。
こんにちは。あらきんです。
認定司法書士として、皆様の生活に寄り添った法律家を目指しております。
今回は知り合いから聞いた話です。
交通事故の損害賠償請求をめぐり、裁判を起こすべきか迷っている人がいるとのことです。
詳しいことは分かりませんが、賠償金をしっかり回収したい気持ちと、弁護士を立ててまで裁判をすることへの不安が交錯して、悩んでいるのだそうです。
通常、交通事故に遭ってもいきなり裁判になることはありません。
まずは被害者と加害者が賠償額などを決めるための示談交渉をし、話がまとまらない場合に裁判へと発展します。
前述のケースがどの段階なのかは分かりませんが、弁護士を立てることを高い壁だと感じているようです。
そこで今日は、裁判で代理人を立てる「訴訟代理」について解説しようと思います。
【訴訟代理ってなあに?】
訴訟代理とは、文字通り訴訟(裁判)に当事者の代理となって出席することです。
しかし訴訟代理人には、誰でもなれる訳ではありません。
一般的に訴訟代理人と言うと、弁護士が思い浮かびます。
弁護士は法律によってその代理権限が与えられていて、民事訴訟における裁判では、当事者に変わって裁判に出席できます。
訴訟代理は、以前は弁護士の独占業務でした。
しかし平成14年の法改正により、司法書士でも訴訟代理ができるようになりました。
但しどの司法書士でも訴訟代理人になれるわけではなく、法務省の認定を受けた「認定司法書士」にのみ、その権限が与えられています。
訴訟代理人を弁護士に依頼する場合、費用の面で躊躇する方も少なくありません。
また、弁護士事務所へ足を運ぶこと自体を高い壁だと感じる方もいます。
そのような場合、身近な専門家として認定司法書士に訴訟代理を依頼するのも、一つの選択肢と考えられます。
【交通事故の裁判はどこでするの?】
交通事故に遭ってしまった場合、裁判沙汰になるとすれば、賠償額などで相手と折り合いがつかなかったケースが想像できます。
その場合であれば、裁判の内容は民事訴訟(民事裁判)ということになります。
民事訴訟とは私人間の揉め事を裁く裁判ですが、争われる対象物の金額によって、最初に訴え出る裁判所が変わります。
■地方裁判所で行う裁判
一般的に、最初に裁判を訴え出る所(初審の管轄)は地方裁判所です。
社会科の授業でも教わる通り、地方裁判所→高等裁判所→最高裁判所、の順番で裁判は進んでいきます。
この順番は、民事裁判と刑事裁判の両方に共通しています。
■簡易裁判所で行う裁判
ご存知ない方も多いかもしれませんが、民事訴訟の場合、訴訟対象となる金額が140万円以下であれば、初審の管轄は簡易裁判所です。地方裁判所ではありません。
例えば貸したお金を裁判を起こして回収する場合、金額が140万円以下であれば簡易裁判所、140万円を超える場合は地方裁判所が初審の管轄となります。
【司法書士が訴訟代理人になれる条件】
認定司法書士が訴訟代理人になれることは先程ご説明しましたが、その範囲には制限があります。
認定司法書士は、簡易裁判所への訴訟代理権限しか与えられていません。
裁判の対象となる金額が140万円を超える場合は、初審の管轄が地方裁判所となりますので、司法書士は初めから訴訟代理権を持たないのです。
また、裁判の対象金額が140万円以下のため簡易裁判所が初審の管轄であったとしても、初審で決着がつかず高等裁判所へ控訴となった場合は、訴訟代理権を失います。
【司法書士に交通事故の相談をする理由】
前述の通り、司法書士には簡易裁判所での訴訟代理権しかありません。
しかし、交通事故で損害賠償請求をする場合の多くは、示談交渉の段階で決着したり、裁判になっても対象額が140万円以下だったりします。
そのようなケースを弁護士に相談すると、依頼費用が割高に感じることが懸念されます。
交通事故の事後処理で困ったとき、まずは身近な法律家である認定司法書士に相談してください!