司法書士の仕事と交通事故について

司法書士というと、そもそもそんな職業が存在することを知らないという人や、不動産関係の仕事をされている方で知っていても、司法書士って登記が仕事でしょ?という方も多く、あまり交通事故で司法書士がどのように役立つかを知らないという方も少なくありません。

そこで、今日はあまり知られていない、司法書士の仕事と交通事故の関係について解説します。

 

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そもそも司法書士の仕事とは?

交通事故と司法書士の関係について触れる前に、司法書士の仕事について確認しておきましょう。

司法書士の仕事については司法書士法第3条や司法書士法施行規則にて次のような業務が対象になると定められています。

①登記又は供託手続の代理

②(地方)法務局に提出する書類の作成

③(地方)法務局長に対する登記、供託の審査請求手続の代理

④裁判所または検察庁に提出する書類の作成、(地方)法務局に対する筆界特定手続書類の作成

⑤上記1~4に関する相談

⑥法務大臣の認定を受けた司法書士については、簡易裁判所における訴額140万円以下の訴訟、民事調停、仲裁事件、裁判外和解等の代理及びこれらに関する相談

⑦対象土地の価格が5600万円以下の筆界特定手続の代理及びこれに関する相談

⑧家庭裁判所から選任される成年後見人、不在者財産管理人、破産管財人などの業務

一部内容が分かりにくいものもあるかと思いますが、簡単に説明すると、次のような仕事が司法書士の仕事になると書いてあるのです。

・土地や建物の登記に関する業務

・会社や各種法人の登記に関する業務

・相続・遺言に関する業務

・成年後見に関する業務

・債務整理に関する業務

・裁判に関する業務

引用元:日本司法書士会連合会

これを見て頂けると、登記というのは実は司法書士の仕事の一部に過ぎず、司法書士の仕事は範囲が広いことがお分かり頂けるかと思います。

弁護士ほど全ての法律業務を取り扱うことはできませんが、日常で起こる法律的な問題についてはかなりの範囲を司法書士であればカバーすることが可能です。

 

交通事故と司法書士の関係

さて、先ほど説明した業務内容には交通事故は入っていませんが、司法書士も交通事故に関する相談を受けることが可能です。その根拠は、前述の⑥です。

司法書士のうち認定司法書士は簡易裁判所での事件の代理人になることができます。そのため、簡易裁判所に係属する事件であれば、司法書士はその代理人になるために相談業務を受けることが可能になるわけです。

 

簡易裁判所に係属する事件は?

上でも記載がありますが、簡易裁判所に係属する事件というのは請求額が140万円以下である必要があります。そのため、これを超える金額のものについては、残念ながら司法書士は受任できません。

この場合には弁護士を紹介するようにしています。

 

司法書士へ相談するメリット

行政書士にも交通事故の際に相談することは一つの選択肢になるでしょうが、司法書士に相談することのメリットはなんといっても、その後の裁判も踏まえて相手方と交渉できることです。これは、行政書士はできない業務になるため司法書士または弁護士に頼むことの最大のメリットと言えます。

裁判を踏まえた上での交渉となるため、示談金も保険会社が使っている基準ではなく、それより高額になることの多い裁判基準での示談金の算定を求めるように請求が可能です。そのため、保険会社が提示した示談金より金額が上がることが期待できるのです。

 

また、費用についても弁護士費用特約が使えるケースが多く、費用倒れになるといった心配もしなくてすみます。

また、仮に保険会社との交渉がうまくいかず裁判になったとしてもそのまま裁判を担当することも可能です。

このように司法書士であれば一つの事故について最後までフォローすることが可能というのは大きなメリットです。

交通事故のはてな|後遺症が残った場合の流れと専門用語を解説

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 交通事故でケガをしてしまった場合、事故発生から保険金を受け取るまでのにはどのような手続きや行程があるのでしょうか?

実際に事故に遭ってしまった方や、身近な人が事故に遭ってしまった方など、これまで経験したことのない状況に不安を感じている方も多いことでしょう。

この記事では、交通事故が発生してから最終的な決着がつくまでの流れと、その中に出てくる専門用語の解説をしたいと思います。

 

[交通事故のケガは2つのパターンに分かれる]

交通事故でケガを負った場合、時間の経過と共に2つのパターンに分かれます。

1つは、一定期間の治療を経て「完治する」パターン。

もう1つは、一定期間の治療を行っても「完治しない」パターンです。

今回は「完治しない」パターンの流れについてご説明します。

 

《完治しないパターンの流れ》

①交通事故が発生

 ↓

②治療の開始

 ↓

③治療費などの損害賠償金の支払い

 ↓

④一定期間治療を行ったが完治せず、症状が残った

 ↓

⑤症状の固定

 ↓

⑥自賠責保険に対し、後遺障害等級認定の手続き開始

 ↓

⑦加害者側任意保険会社と示談交渉

 ↓

⑧損害賠償金の受け取り

 ↓

⑨一件落着

 

この場合、治療が開始すると治療費や休業損害等の損害賠償金が、加害者側任意保険会社から支払われます。(③)

これは最終的な支払ではなく、治療などに掛かった実費を任意保険会社が病院などへ直接支払っている状態です。

賠償金を支出する優先順位は、自賠責保険→任意保険の順です。

自賠責保険は被害者保護の観点から、最低限の補償を行う保険です。

そのため支払い金額に上限が設けられており、自賠責保険で足りない分を任意保険会社が補うイメージです。

しかし実際の支払いの現場では、自賠責保険が負担する分も任意保険会社が一旦立て替えて支払い、あとから自賠責保険に請求・回収してくれます。

この方法を「一括払い」と言いますが、これにより被害者は、自賠責保険と任意保険の両方に請求をする必要がなくなります。

 

 ■用語解説:一括払い

一括払いとは被害者の治療費や休業補償、入院慰謝料などに関して、自賠責保険負担分と任意保険負担分の両方を、任意保険会社が一旦肩代わりする制度です。

被害者にとっては、自賠責保険と任意保険の両方に請求する手間が省けるというメリットがあります。

 任意保険会社にとっては治療費を直接病院に支払うなどできるため、実際に掛かる費用が把握できるようになります。

 

④、⑤でケガの症状が残り固定してしまった場合には、後遺障害認定の手続きに入ります。

後遺障害とは一定の要件を満たした後遺症のことで、自賠責法施行令に定められた等級表によって、症状の重さが分けられます。

一括払いをしたのち、一定期間の治療を行っても完治せず後遺症が残ってしまった場合は、加害者側任意保険会社が、一括払いの流れの延長で等級認定の手続きを行ってくれます。

これを「事前認定」と呼びます。

 

加害者側任意保険会社が自動的に等級認定手続きをしてくれる「事前認定」に対し、被害者側が自ら行う等級申請を「被害者請求」と言います。

 

■用語解説:被害者請求 

自賠責保険に対して、後遺障害等級認定を被害者側自らが行う行為を「被害者請求」と言います。

後遺障害等級認定は、損害賠額の算定基準となる大切な申請です。

そのため、加害者側任意保険会社に任せることに、不安を覚える方もいます。

そんな方のために認められた権利が「被害者請求」なのです。

 

等級認定も無事終わりると、今度は加害者側任意保険会社との「示談交渉」が待ってい ます。(⑦)

示談交渉に使われる算定基準には、以下の3つのがあります。

  1. 自賠責基準(一番低い算定基準)
  2. 任意保険基準(真ん中の算定基準)
  3. 弁護士基準(一番高額な算定基準)

示談交渉を被害者自身で行うと、自賠責基準が適用され低い算定をされる傾向にあります。

専門的な知識の乏しい個人では、高額な基準で算定してもらうのは難しいのが現状です。

そのため示談交渉を有利に進めるためには、専門の法律家に交渉をお願いするのがおすすめです。

(3)の弁護士基準を用いた示談交渉は、弁護士だけではなく司法書士でも行うことができます。

交通事故で示談交渉が必要になったら、専門の司法書士に相談してみてください!

 

 

 

 

 

交通事故で負ったケガが治らない!後遺障害の等級認定ってなに!?

 

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交通事故でケガをしてしまった人の中には、一定期間が経過しても治らず後遺症が残ってしまう方がいます。

前回の記事でも解説しましたが、このようにケガが完治せずに後遺症が残った場合、一定の要件に当てはまるケースを「後遺障害」と呼びます。

自動車保険の損害賠償を算定する際にはこの後遺障害に当てはまっていることが重要で、その基準となる後遺障害の状態を細かく分類したものが「等級」です。

今回の記事では後遺症がどの等級に該当するかを決める「等級認定」について詳しく解説いたします。

 

[等級認定ってなに?]

上述の通り、後遺症の状態を細かく分類したものが等級です。

16等級・142項目に分けられています。

 

『介護を要する後遺障害』

  • 2等級に分類
  • さらに4項目に細分

その他の『後遺障害』

  • 14等級に分類
  • さらに138項目に細分

 

 後遺症が残った場合に、症状がこの等級のいずれかに当てはまれば「後遺障害」と認定され、ケガを負ったときに受け取った治療費や慰謝料とは別に、損害賠償の対象となるのです。

そのため後遺症の状態がどの等級に該当するのか、そもそも該当する等級があるのかどうかは、交通事故の被害者にとって大きな関心事です。

 

[等級認定以外の「後遺障害認定基準」]

 

後遺障害とは交通事故でケガを負ってしまった場合に、一定期間の治療を経てもなお症状が残ってしまった状態で、以下の要件すべてに当てはまるものを言います。

  1. 交通事故によって受けた精神的・肉体的な傷害である
  2. 将来においても回復が見込めない
  3. 交通事故と症状固定状態の間に、相当な因果関係が認められる
  4. 傷害の存在が医学的に認められる
  5. 労働能力の喪失をともなう
  6. 傷害の程度が自賠責法施行令の等級に該当する

 

等級認定は上記「6」の要件をもとに行われますが、1~5までの要件がどの程度確認できるかによって等級区分も変わってきます。

等級認定では、自分の後遺症の状態により近い等級区分が認められることが大切です。

なぜなら、認定された等級が実情よりも軽かった場合、本来受け取れるはずの損害賠償額がもらえなくなってしまうからです。

等級認定を申請する際は、実情が正確に伝わるようしっかりと資料を準備する必要があるのです。

 

[等級認定の手続き方法]

後遺障害が残ってしまった場合、どの等級に認定されるかで損害賠償額に差が出てしまうのは上述の通りです。

では、損害賠償額を決める上で大切な等級認定の手続きは、どのように行うのでしょうか?

一般的に、等級認定は加害者側の任意保険会社が窓口となり、手続きまで代行してくれます。

そのため被害者側は、手続きに必要な書類や資料を揃える必要はありません。

 

[等級認定手続きを自分で行う権利もある]

基本的に等級認定手続きは、加害者側の任意保険会社がやってくれるため、被害者側はなにもする必要はありません。

つまり丸投げです。

でも、ちょっと待ってください。

後遺障害等級認定は、今後受け取る損害賠償額を決める大切な行程です。

それを、交通事故の相手方である保険会社に丸投げして大丈夫なのでしょうか?

自分が加入している保険会社の方なら安心ですが、相手方の保険会社の方が、認定手続きに対して積極的に動いてくれるかは疑問です。

相手方の保険会社が書類の不備や不足の確認に対して消極的、なんてケースも実際にあるようです。

もしそんな担当者に当たってしまったら、納得のできる等級認定を受けることは難しいでしょう。

そこで被害者には、自分で等級認定手続きを行う権利も認められています。

これを「被害者請求」と言います。

被害者請求は被害者側が手続きを行うため、申請内容と傷害の実情が乖離する心配がありません。

しかし必要書類の準備や立証資料を揃える作業も行う必要が出てくるため、素人だけで挑むにはハードルが高いのも事実です。

 

後遺障害の等級認定で「被害者請求」を考えている方は、一度専門の法律家へご相談することをおすすめ致します。

 

 

交通事故で後遺障害を負ってしまったとき、保険をどう役立てるべきか?

 

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交通事故の被害者になってしまった場合、後遺症が残ると生活や治療費など、多くの不安を抱えることになってしまいます。

前回の記事では自動車保険の役割についてお話ししましたが、今回は「後遺障害」について詳しく解説したいと思います。

 

[後遺障害とは何か?]

交通事故でケガをしてしまった場合、一定期間の治療をして完治するケースと、しないケースがあります。

後者を「後遺症」と呼びますが、後遺症の中でも自賠責保険の後遺障害等級表のいずれかに当てはまり、且つ以下の定義に該当すると認定されたものを「後遺障害」と呼びます。

【後遺障害の定義】

①交通事故によって受けた精神・肉体的な傷害が存在する

②交通事故によって受けた傷害が、将来に渡って回復の見込めない状態である

③交通事故とその症状固定状態との間に、因果関係が認められる

④傷害の存在が医学的に認められる

⑤労働力の喪失を伴う状態である

⑥傷害の程度が、自賠責法施行令の等級に該当する

このように後遺障害は、後遺症の中でも特に厳密な規定が設けられており、治療費や休業補償、入通院慰謝料とは別に損害補償の対象となります。

 

 [自賠責保険にできること]

被害者の保護を目的としている自賠責保険では、後遺症が残った被害者に速やかに補償がなされるよう、個々の後遺症の程度を分類するための基準を設けています。

その基準を一覧にしたのが「後遺障害等級表」で、先ほどご説明した後遺障害認定の基準となります。

後遺障害等級表は後遺障害を16等級に区分し、さらに142項目に細分して被害者の障害の程度を判断していきます。

自賠責保険ではこの等級表に基づいた認定が損害賠償請求の基礎となるため、いかに傷害の実情に合った等級に認定してもらえるかで、適正な賠償を受けられるかが決まります。

なおこの認定基準は労災の認定基準に準じており、詳細は『労災補償障害認定必携』で確認することができます。

 

[任意保険にできること]

【その1:一括払い】

自動車事故に遭ってしまった場合、任意保険会社は加害者に代わって、被害者への損害賠償の支払いをしてくれます。

その際自賠責保険で支払われるべき補償も任意保険会社が一旦肩代わりをして、全額まとめて被害者側へ支払います。

このまとめて支払うサービスを「一括払い」と呼び、任意保険会社は治療費などを直接医療機関へ支払います。

一括払いのサービスを利用すると、被害者は自賠責保険会社と任意保険会社の双方に個別で請求をする手間が省けるうえ、治療費などの負担を立て替える必要もありません。

一方で加害者側も、任意保険会社が窓口になってくれるので、素人知識でトラブルに巻き込まれる心配がなくなります。

一括払いサービスは、被害者保護加害者保護両方の観点で優れたサービスです

 

【その2:事前認定】

交通事故で傷害を負ってしまった場合、上記のように「一括払い」を利用して治療を続けても、完治せずに後遺症が残ることがあります。

後遺症が残った場合は、後遺障害の認定基準に基づき後遺障害等級認定を受けて、損害賠償額を算定する必要があります。

任意保険会社から一括払いのサービスを受けている場合は、そのまま任意保険会社が後遺障害等級認定の手続きを行ってくれます。

これを「事前認定」と呼び、被害者は申請に必要な書類や資料を自分で揃える必要はありません。

 

ただし被害者の中には「加害者の加入している保険会社では信用できない」という不安を抱く方もいます。

そのような場合は、後遺障害等級認定の手続きを被害者自身で行う「被害者請求」という方法もあります。

 

後遺障害になると、損害賠償請求に必要な等級認定手続きなど、専門的な知識を必要とする場面が出てきます。

交通事故で後遺障害を負ってしまった場合は、専門家への相談も視野に入れることをおすすめします。

自賠責保険と任意保険、あなたはどちらの保険を使いますか?

 

f:id:arakinblog:20200614135320j:plain交通事故に遭った場合、頼りになるのが自動車保険です。

一般的に自動車保険と言えば「自賠責保険」「任意保険」の2種類があります。

しかし自分が事故を起こしてしまったときにどちらの保険を使うべきか、ちゃんと理解していますか?

 

[ほとんどの人が任意保険ばかり使っている!?]

交通事故を起こしてしまった場合、あなたはどちらの保険会社に連絡しますか?

おそらくほとんどの人が、任意保険会社に連絡するのではないでしょうか。

「自賠責保険の会社に連絡した」という人には、まず出会いません。

しかし皆が任意保険ばかり利用して、自賠責保険を利用していない、という訳でもないのです。

一体どういうことでしょうか?

 

その理由は、自賠責保険と任意保険の位置付けや、役割分担に違いがあるからです。

 

[自賠責保険とは]

自賠責保険とは「自動車損害賠償責任保険」の略です。

補償額に上限が設けられていますが、万が一加害事故を起こした場合、被害者への保証金の支払いは、まず自賠責保険から支出されます。

自賠責保険は、万が一交通事故を起こしてしまった場合に、被害者に対して最低限の補償を確保するための基本的な保険との位置付けです。

そのため自動車を使用する者に対して加入が義務付けられていて「強制保険」と呼ばれることもあります。

 

しかし交通事故の現状からすると、自賠責保険では賄いきれない金額の損害賠償請求をされることもしばしばあります。

自賠責保険に加入していたとしても、保証額を超える額の請求に対しては加害者の負担となってしまいます。

そこで多くのドライバーが加入しているのが「任意保険」です。

 

[任意保険とは]

任意保険は、文字通り自動車利用者が「任意」で加入する保険です。

加害事故を起こしてしまった場合、損害賠償の支払いは自賠責保険から優先して支払われます。

しかし請求額が自賠責保険の補償額を超えた場合は、差額分を任意保険で賄うのが一般的です。

また任意保険は、保険料の掛け金や販売している保証会社によって補償内容が異なるため、自分のライフスタイルや金銭的事情に合わせて加入する商品を選ぶことができます。

 

[任意保険会社にしか連絡しないのはどうして?]

ご説明した通り、交通事故の加害者になった場合、優先的に補償金を支出するのは自賠責保険です。

しかし事故を起こしてしまった場合、ほとんどの人が任意保険会社に連絡するのはなぜでしょうか?

実は任意保険会社は、自賠責保険会社への連絡の代行もしてくれます。

 

[任意保険会社の一括払い制度]

交通事故を起こしたときに、多くの人が任意保険会社にしか連絡しない最大の理由は、この「一括払い」という制度にあります。

一括払いとは、被害者に関係する賠償金の支払いを、加害者の加入している保険会社が窓口となり一括して支払う制度です。

本来であれば自賠責保険会社が支払う被害者への損害賠償金も、任意保険会社がまとめて被害者に支払い、後から自賠責保険会社に請求して回収するのです。

この一括払い制度により被害者は、損害賠償金の最初の請求先である自賠責保険会社に連絡する手間が省け、任意保険会社とのやり取りだけで済むことになります。

また、治療費などを被害者が立て替える必要もなくなるので、交通事故の事後処理もスムーズに進められます。

一方、加害者は任意保険に加入することによって、自賠責保険では足りない損害賠償金を補填できる上、被害者側との交渉も代行してもらえるメリットがあります。

 

[まとめ]

2種類ある自動車保険のうち、自賠責保険は被害者保護が目的であり、任意保険は加害者保護が目的と言えます。

しかしどちらの保険も、事故に遭った際に連絡する窓口は任意保険会社であり、任意保険会社は自賠責保険の手続き代行もしてくれます。

一見すると、事故に遭っても任意保険しか利用していないように感じますが、実際には自賠責保険の補償が優先的に行われ、不足分を任意保険が補うという構造なのです。

 

自賠責保険と任意保険にはそれぞれ補償範囲に違いがありますので、交通事故の補償問題で困ったときは、専門の法律家へご相談ください!

 

 

 

 

 

 

 

 

ドライブレコーダーは真実を知っている!訴訟に強い記録媒体とは?

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先日、自宅から車で出勤しようとしたとき、車の下からペン型の懐中電灯が見つかりました。

気持ち悪くて近くの交番に届けたところ「車のタイヤや部品を狙った犯行ではないか?」とのこと。

若い頃に、タイヤを盗まれた経験のある私は「またか!」とショックを受けてしまいました。

交番の方が言うには、ドライブレコーダーを取り付けると防犯効果があるとのことでした。

「駐車中でもドライブレコーダーは役に立つのだ」と分かり、購入を検討している私です。

 

ところでドライブレコーダーの本来の役割は、運転中の周囲の状況を記録することですよね。

皆さんご存知のこの機能、交通事故の争訟でかなりの威力を発揮します!

今後ドライブレコーダーの購入を検討されている方は、この記事も参考にしてください。

 

《事故状況の把握が容易にできる》

自動車事故に遭ってしまった場合、多くの人が、契約している保険会社に連絡を入れるはずです。

比較的小さな物損事故の場合は電話で事故状況を説明し、修理工場に保険会社の担当者が来て、車の状態を確認をします。

その程度の話であればドライブレコーダーの出番も少ないのですが、人身事故や損害額の大きい事故になると、被害者・加害者双方の主張の食い違いも大きくなりがちです。

そんなときドライブレコーダーを確認しながら事故状況を説明すれば、短時間で正しい情報を入手することができます。

 

ドライブレコーダーを取り入れる一つ目のメリットは、事故の初期段階で正確な状況判断ができることです。

これによって保険会社の担当者は交渉の方向性を決めやすくなり、保険契約者は自分の記憶が正確か、客観的に判断できます。

 

ドライブレコーダーを用いて初期対応をすることで、スピーディーに事故処理を進められるようになるのです。

 

《双方の意見の食い違いを防げる》

ドライブレコーダーの二つ目のメリットは、双方の意見の食い違いを防げることです。

 

交通事故に遭ってしまうと、自分に多少の非があっても、全部相手のせいにしたくなるのが人間です。

事故現場には自分と相手しかいないのですから、お互い「自分が正しい」と主張しがちになってしまいます。

しかしドライブレコーダーに録画されたことは、どちらにも加担しない客観的な情報なので、意見が食い違っても確認することができます。

 

ドライブレコーダーの画像を確認することは、相手の言いがかりから逃れることでり、自分の思い違いを修正することでもあるのです。

 

《訴訟での証拠採用率が高い》

客観的な情報であるドライブレコーダーが一番威力を発揮するのは、やはり裁判(訴訟)になったときではないでしょうか。

交通事故案件で訴訟が起こる場合、過失の割合を争うケースが多く見られます。

その場合はお互いに主張を裏付ける証拠を提出するのですが、出した証拠がすべて認められるわけではありません。

 

従来の訴訟では、お互いの証言に基づいてその信憑性を審議することも多く、相手の

証言が採用されて「自分の証言は採用されなかった」ということも起こり得ました。

そうなってしまうと、自分では被害者のつもりでも「賠償金が全く支払われない」という事態にもなりまねません。

しかしドライブレコーダーの画像を証拠として提出した訴訟では、証言内容の裏付けが容易になり、証拠として採用される可能性も高くなるのです。

 

交通事故の裁判なんて、無いに越したことはありません。

しかしドライブレコーダーは、万が一自分が当事者になってしまったときに、強い味方になるかもしれません。

最近ではお手頃価格のものから360度録画できるタイプのものなど、商品も豊富に販売されています。

今後もっともっと身近になるドライブレコーダーは、多少の負担をしてでも取り付ける価値があると言えそうです。

無保険の自転車事故で被害者になったらどうする?司法書士にできることとは

 

ここのところ自宅で仕事をすることが多く、すっかり運動不足になってしまいました。

こんなお悩みを持っている方、結構多いのではないでしょうか?

室内での業務が多く、運動不足気味の私。

運動不足解消のため倉庫に眠っていた自転車を引っ張り出し、通勤に使うことにしました。

 

正直言いますと私は四輪車が専門で、二輪車には今一つ自信がありません。

そのため気になったのが、自転車保険です。

数年前からテレビで時々見かける、自転車による死亡事故のニュースには心が痛みます。

私自身は怖くてスピードが出せないので、そんなに大きな事故は起こさないと思います。

しかし、その甘い気持ちがいけないのです!

私は、現在加入している自動車保険に、自転車保険を追加してもらうことにしました。

 

そこで今日は、無保険の自転車事故で被害者になった場合、司法書士にどのようなお手伝いができるかをご紹介したいと思います。

 

《自転車保険の現状》

 2020年4月時点で自転車保険の加入が義務化されている都道府県は、関東や近畿地方を中心12都府県あります。

義務化はまだされていないが、今後義務化する予定が2県

努力義務12道県です。

その他にも加入の義務化を定めている自治体が複数あり、概ね「加入」の方向で進んでいます。

 

《自転車保険の必要性》

自動車保険と比べ軽視されがちな自転車保険ですが、実は自転車の事故でも高額の賠償金が発生するケースが増えています。

例え自転車がゆっくり走っていたとしても、ぶつかった相手が転倒し、打ち所が悪くて大ケガをしてしまうかもしれません。

もしかしたら、自分の運転する自転車で「相手が命を落としてしまうかもしれない」というリスクもあることを覚えておきましょう。

 

《無保険の自転車》

自転車事故が起きた場合、多くのケースで、被害者は数週間程度で完治する軽傷です。

しかし重度の後遺症が残ったり、死亡してしまうケースも少なからず存在します。

そのような事故を起こした加害者が、無保だったらどうなるでしょうか?

被害者が軽傷で賠償額も数万円程度であれば、加害者もなんとか支払ってくれるかもしれません。

しかし重症や死亡事故を起こしてしまった場合、無保険の加害者から相当額の賠償金を回収するのは、かなり高いハードルになるでしょう。

 

《自転車事故で被害者になったら》

自分が自転車事故の被害者になった場合、相手が保険に加入していれば保険会社と示談交渉をすることになります。

しかし無保険であった場合は、加害者本人へ賠償金を請求しなければなりません。

「たかが自転車事故」と軽く見ないで必ず警察にも連絡し、相手の名前住所連絡先の確認も忘れずに行いましょう!

 

《司法書士にできること》

警察への届け出も行い、加害者へ賠償請求を行ったとしても、無保険の加害者が支払ってくれる補償はありません。

かと言って、弁護士を立てて請求するほどの賠償額でもないケースも多いものです。

そんなときお役に立つのが司法書士です。

司法書士は交通事故の示談交渉も業務範囲であるため、専門知識を活かして賠償金額の交渉や、回収を行うことができます。

 

《支払ってくれない加害者から回収する方法》

加害者が賠償請求に応じない場合は、訴訟を起こして回収することになるでしょう。

司法書士の中には「認定司法書士」と呼ばれる訴訟代理権を持った司法書士がいます。

認定司法書士は、訴訟の対象額が140万円以下の訴訟で、代理人となることができます。

比較的少額の損害賠償を争う自転車事故では、認定司法書士に相談するものお勧めの選択肢です。

 

加害者の中には訴訟で支払いが決定した後も、支払いを拒み続ける人がいます。

そんな時は給与等を差し押さえて回収する方法があるのですが、専門知識がなければ到底できる作業ではありません。

このような時にも、司法書士はお役に立てます。

 

実際の事例でも、司法書士が介入することで100%回収できるケースがあります。無保険の自転車事故で加害者になったときは、一度司法書士に相談してみてください。

 

 

当て逃げにあったらどうすればいい?自分の自動車保険は使えるの!?

f:id:arakinblog:20200414013541j:plain交通事故を起こさないように気を付けるのは、ドライバーとして当然のことです。

しかし、いくら気を付けても防げない事故があります。

当て逃げです。

お買い物を終えて駐車場に戻ってきたら、愛車に見知らぬキズが付いていた!

そんな悲しい目に遭った経験、ありませんか?

 

でも自分の愛車が当て逃げにあってしまったときって、何をすればいいのでしょうか?

当て逃げのパターンと、自動車保険について考えてみましょう。

 

《パターン1:目の前で当て逃げされた》

車に乗っているとき、または乗り込む直前など、目の前で愛車が当て逃げされたらどうしますか?

おそらくあなたはパニックになり、ショックで頭が真っ白になることでしょう。

しかしこんなときこそ、愛車のために気持ちを強く持ってください。

そして以下のことを確認しましょう。

(逃げた車の)

  1. ナンバーを覚える
  2. 車種を覚える
  3. 色を覚える

女性の場合、車種を覚えるのは難しいかもしれません。

その場合は「軽自動車」「1BOX」「SUV」など、車の大まかな形状を覚えるといいでしょう。

 

そしてなるべく早く警察へ届け出てください。

 

逃げた車の車種・ナンバー・色が分かれば、短時間で加害者を見つけられる可能性が高いです。

加害車輛を目撃した場合は「情報が新鮮なうちに通報する」が鉄則です!

 

《パターン2:見ていないときに当て逃げされた》

当て逃げで一番多いのは、このパターンではないでしょうか。

このような状況だと、加害車輛を特定する情報がありません。

しかしこの場合でも、警察への届け出は速やかに行ってください。

加害者が見つかる可能性は低いですが、警察が出動すればお店や町中に設置されている防犯カメラの映像などを確認することができ、何らかの情報が得られる可能性もあります。

また警察へ届け出ることで、保険金の受け取りに必要な「交通事故証明書」などの書類を受け取ることができます。

 

 

《自分の保険を使うべきか?》

 

当て逃げで加害者が不明の場合、警察への届け出をしておけば、自分が加入している自動車保険を使って修理をすることができます。

ただし、以下のデメリットがあります。

  • 翌年以降の等級が下がる
  • 等級ダウンに伴い保険料が上がる
  • 車輛保険が付加されていなければ修理代は補償されない

自分の自動車保険を使って修理を行う場合、金額によっては損をする可能性がありますので注意が必要です。

 

《加害者が見つかれば修理代を補償してもらえるか?》

パターン2のように加害者が不明な場合でも、警察へ届け出ておけば後から見つかることもあります。

そのような場合、加害者は被害車輛の修理代を賠償する義務を負います。

しかし、当然と思えるこの賠償義務には、以下のような落とし穴があります。

 

①自分の保険を使って支払い済みの場合、加害者からは回収できない

なんだか腑に落ちない話ですが、損害賠償(修理代)の請求は、損害が存在しないと請求できません。

保険で修理代を支払い済みの場合、修理代という損害は保険によって補填されているので、もはや存在しません。

したがって、被害者は加害者に損害賠償を請求できないのです。

 

②被害者が自腹で支払った場合は、加害者から回収できる

①のケースは保険によって損害の補填が完了していますが、②の場合は被害者が損害を受けたまま、現に存在しています。

そのため被害者は、加害者に対して損害賠償請求ができます。

 

③加害者が無保険の場合、踏み倒されるリスクがある

いくら加害者が見つかっても、支払い能力がなくては修理代を回収できません。

当て逃げをする理由の一つに「無保険」があります。

加害者が自動車保険に加入していない場合、修理代が回収できない可能性も充分考えられます。

 

《泣き寝入りをしたくないなら専門家に相談を! 》

せっかく当て逃げの加害者を見つけたのに、修理代を回収できないなんてイヤですよね。

どうしても相手に支払いを迫りたい!

そんなときは、法律の専門家への相談がおすすめです。

支払いを渋る加害者でも、裁判所を通じて手続きをすることで修理代を回収できるかもしれません。

と言っても、車の修理代くらいで弁護士に依頼するのはハードルが高いと思いませんか?

それなら、認定司法書士へ相談してみてください。

認定司法書士とは、訴訟額が140万円を超えない裁判の代理権を持った司法書士のことです。

車の修理代を請求する訴えであれば、140万円を超えないことも多いと思います。

 

弁護士に依頼する勇気が出ない方でも、司法書士なら少し肩の力を抜いて相談できるかもしれませんよ!

交通事故で警察を呼ばなかったらどうなる?後日では受け付けないこともある!?

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東京など交通インフラが発達している都市部では、若者の車離れが進んでいるようです。

一方、地方で暮らす人の中には、車無しでは生活できないと言う方も多いでしょう。

 

車を運転しているとき、いつも隣り合わせなのが交通事故のリスクです。

万が一事故に遭ってしまったら、警察に連絡し、ケガ人がいれば救護をします。

ドライバーなら誰でも知っている行動ですが、もしも事故が軽微だったら、あなたはどうしますか?

誰もケガ人がおらず、ちょっと電柱に接触した程度の自損事故なら「これくらい平気だろう」と警察に連絡しないで済ませていませんか?

 

相手のいない軽微な事故でも、警察への届け出を怠ると痛い目に遭う可能性があります。

警察への届け出をしないとどうなるのか、ケース別に見ていきましょう。

 

《軽微な事故でも報告義務がある》

まず初めに抑えておきたいのは、事故を起こした場合、運転手は必ず警察へ届け出る義務があります。

これは道路交通法72条1項に規定されており、怠ると罰金または懲役刑に課せられる可能性があります。

 

《単独事故を届けなかった場合》

ケガ人や相手のいない単独事故でも、警察への届け出は必要です。

単独事故の場合、自分の車輛の修理費だけを負担すればよい勘違いしている方もいますが、電柱やガードレール、他人宅の塀などを傷つけてしまった場合、ドライバーには損害賠償責任が発生します。

単独事故だからといってその場を立ち去った場合、当て逃げとみなされる可能性もありますので、必ず警察へ届け出ましょう。

 

《後日の届け出は受け付けてもらえない可能性もある》

道路交通法によると、事故に遭った場合の届け出は「直ちに」行うよう規定されています。

社会通念上やむを得ない事情があった場合など、後日の届け出が認められるケースもありますが、基本は「直ちに届ける」です。

特別な理由もなく届け出を後回しにすると、受け付けてもらいないこともありますので注意してください。

万が一事故の届け出が受け付けてもらえない場合、ドライバーにとって不利益が発生します。

それは「交通事故証明書」などの書類が発行されないということです。

これらの書類は保険金の請求などに必要ですので、発行されなければ保険金がもらえない可能性が出てきます。

 

《相手がいる事故の場合》

相手がいる事故の場合、そのまま立ち去ってしまう人は少ないはずです。

相手がいるのに立ち去ってしまうと、当て逃げひき逃げになってしまうかもしれません。

そのため、多くのドライバーが車を降りて相手の状況を確認するはずです。

相手がいる事故の場合、車輛の修理代が発生したり、ケガ人がいれば治療費が発生したり、保険の支払いが必要なケースがほとんどです。

保険金の請求をスムーズにするためにも、警察への届け出は必ず行いましょう。

 

《それでも届け出ない人がいる!》

しかし相手がいる事故の場合でも、警察に届け出るのを拒む人がいます。

届け出ない理由はさまざまですが、無保険だったり、飲酒運転だったり、もっと他の犯罪にかかわっている人かもしれません。

いずれにしても、モラルが低い人たちのはずです。

そしてその人たちが持ち出してくるのが「示談」です。

 

 

《その場での示談は絶対NG!加害者と示談するデメリット》

交通事故で示談を持ちかけてくるのは、十中八九、加害者側です。

示談に持ち込みたい理由はさまざまですが、いかなる事情があっても、その場で示談に同意してはいけません。

なぜなら、交通事故の示談交渉には専門的な知識が必要だからです。

事故直後に示談交渉をすると、相手のペースで不利な話が進む可能性があります。

示談とは口約束でも成立しますので、後から「やっぱりおかしい!」と言い出しても覆すことは難しいのです。

事故現場で相手が示談を持ち掛けてきても冷静にお断りし、必ず警察へ届け出ましょう。

 

ちなみに示談交渉は、警察へ届け出た後でも行うことができます。

相手がどうしても示談を望む場合は、後日改めて交渉しましょう。

 

《司法書士へ示談を依頼するメリット》

交通事故の示談交渉は、専門知識を持っていると有利に進められます。

法律知識を持った司法書士は示談交渉の専門家でもあり、交通事故の知識も豊富です。

自分で示談を進める自信がない場合は、司法書士に相談するのも選択肢の一つです。