当て逃げとはなに?どんな罪に問われるの?

このブログでは少し前にひき逃げとはどういうものか、ひき逃げをした場合にはどんな罪に問われるかを書きました。今回は、当て逃げは何か、当て逃げをした場合にはどんな責任に問われるか、書いていきたいと思います。

当て逃げとは何?

当て逃げとは接触事故をはじめとした物損事故が起きた時、危険防止措置や警察への通報などをしないまま、現場から離れてしまうことを指します。例えば事故で路上に荷物が散乱しているような場合、それらの荷物はすぐに片付けなくてはいけません。

また、他の車両が追突事故などに巻き込まれないためにも、車を道路脇に移動させるなどの必要もあります。加えて危険を取り除けた後で、物損事故の内容を警察に通報して報告しなくてはいけません。それらの義務を果たさない場合に当て逃げとみなされます。ひき逃げとの違いは「物損事故か、人身事故か」という点です。

当て逃げの罰則

当て逃げをすると以下の責任が問われます。

  • 刑事責任…懲役や罰金などの刑事罰が科される可能性があります
  • 行政責任…違反点数の加算や免許停止のおそれがあります
  • 民事責任…被害者への弁償が必要です

当て逃げの刑事責任と罰則

最初の方でも触れましたが、万が一交通事故を起こしてしまったなら、適切な措置を講じて警察に報告しなければいけません。現場から逃走する当て逃げという行為は、これらに違反することとなるため、結果的に以下の罰則を受ける可能性がでてきます。

報告義務違反により3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金

報告義務を怠った場合、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が課される可能性があります。

事故を起こしてしまった場合、被害の大小は関係ありません。必ず警察に通報してください。当て逃げは、警察への通報もしない行為ですから、は報告義務違反となる可能性があります。

危険防止等措置義務違反により、1年以下の懲役または10万円以下の罰金

事故を起こしたドライバーは、すぐに運転を停止し負傷者の救護と道路の危険を防止する措置を講じなければいけません。もし負傷者のいない場合でも、道路の危険を防止する必要があります。これらの措置を講じなかった場合には、1年以下の懲役または10万円以下の罰金が科される可能性があります。

最後に

今回は当て逃げについて書いていきました。ひき逃げに比べると軽く思える当て逃げですが、危険物を放置したまま逃げてしまうなら、後続車が事故に巻き込まれる危険もあります。どんな事故であったとしても、危険防止措置を行い、必ず警察に通報しましょう。

交通事故の刑事責任ってどんなもの

交通事故の加害者となった場合、どのような刑罰が科されるのでしょうか。交通事故の加害者になった場合、民事上の責任や行政上の責任も負いますが、今回は特に刑事責任について目を向けていきます。

人身事故を起こした場合

人身事故では、被害者が亡くなっているか、ケガをした場合には程度の程度で刑罰が決まります。

かすり傷のような軽いけがの場合もあれば、重い障害を負うこともあります。さらに後遺障害が残る場合もあります。ケガの程度にもよりますが、人の命や身体を傷つけているので、物損事故よりも重い刑事責任が科されます。

以前は交通事故に対して、刑法の業務上過失致死傷が適用されていました。しかし近年では悪質な自動車事故に対して厳罰を科す目的で、自動車運転過失致死傷罪が適用されることになりました。そして刑法の特別法として、自動車運転処罰法が新設されて過失運転致死傷罪も設けられています。

過失運転致死傷罪

正常な運転が難しくなる程度の飲酒運転、薬物を使用しての運転、スピードの出しすぎ、信号無視などの場合には、危険運転致死傷罪が適用される場合があります。

危険運転傷害罪は、1月以上15年以下の懲役が科されます。被害者が亡くなってしまった危険運転致死罪の場合には1年以上20年以下の懲役です。

飲酒運転

アルコールを飲んで運転していた場合には、正常な運転が困難な程度ではない場合であっても、人にケガをさせてしまった場合には1月以上12年以下の懲役が科せられます。

なお人を死亡させた場合には、1月以上15年以下の懲役が科されます。

加え飲酒を隠そうとした場合、別途1月以上12年以下の懲役が科されることがあることも覚えておきましょう。

物損事故の刑事責任

人の命や体を傷つけなくても、物損事故は被害者の財産にダメージを与えてしまう行為なので、こちらも罪に問われる可能性があります。

財産を侵害する罪というと、器物損壊罪が真っ先に思い浮かぶかもしれませんが、過失で人の物を壊した場合には適用されないので、交通事故の場合には適用されないことも少なくありません。

しかし、壊した物が建造物であった場合、過失建造物損壊罪(刑法260条前段)の刑事責任を問われる可能性があります。人身事故に比べれば刑罰は軽いものですが、被害者に対して償いをしなくても良いという意味ではありません。交通事故で人の財産に損害を与えた場合にも、十分な謝罪と償いが必要となりることも覚えておきましょう。

ひき逃げとは何か?ひき逃げとみなされる例も紹介 

ひき逃げは、交通事故で人を死傷させたのに、必要な処置をしないでその場からいなくなってしまう行為のことを指します。

交通事故で人を死傷させると、その時点で罪に問われますが、現場から立ち去ってしまう行為も罪に問われるます。「そんなつもりではなかった」と弁解することは難しいでしょう。

直接ぶつかっていなければ、ひき逃げにならないのか?

相手方と直接の接触がない場合でも、接近した時に相手が急ブレーキをかけて転んだ場合などは、要注意です。「直接ぶつかっていないから」と、停止することなく現場から立ち去るなら、救護義務違反に当たる場合があります。

自分のせいで相手が転んだか、はっきりとしない場合でも、必ず警察に報告しましょう。

逃げてないのにひき逃げになるの?

交通事故の現場で加害者と被害者が話をし、被害者が「大丈夫」と言ったので現場を離れる行為は正しくありません。

交通事故の直後はどこも痛みを感じていない場合であっても、後になってから身体が痛くなる倍もあるからです。病院を受診した結果、大きなけがをしている場合もありえます。自分の判断で行動してはいけません。

必ず救急車を呼び、病院に行きましょう。もしその場で現場を離れてしまい、被害者が後から警察に診断書を提出した場合、救護義務違反に当たることがあるのです。

負傷の有無は、当事者同士で決めることはできません。専門家である医師でなければ判断ができないのです。相手の「大丈夫」を「けがはない」と思わないようにしましょう。

もし相手が「自分は大丈夫」と言って立ち去ってしまった場合でも、必ず警察へ報告しましょう。子どもの場合は保護者にも連絡してください。

相手が悪い場合にもひき逃げになるの?

相手が飛び出しや信号無視をした場合には、「自分のせいではない」と思うでしょう。しかしこの場合も自分で一方的に判断するのは危険です。事故の過失責任と救護義務違反は別の問題です。相手に過失がある場合でも、救護義務は果たしましょう。

仮に相手が全面的に悪い場合だとしても、走り去るのではなく運転を止めましょう。相手が怪我をしている場合には、相手が「救急車のは必要はない」と言ったとしても、必ず救急車を呼び、警察にもへ報告しましょう。

救護義務を怠るなら、悪気がない場合であっても「ひき逃げ」となってしまいます。
どんなに急いでいる時でも、自分で「大丈夫だろう」と判断をしてはいけません。ひき逃げとみなされないためにも、何を差し置いても、必要な救護措置を取りましょう。

後遺障害による逸失利益とは?

交通事故の被害者となり、後遺障害が認定されると、後遺障害による逸失利益の賠償を受けることができます。

 

この記事では、後遺障害による逸失利益とは何かについて解説したうえで、具体的な算定方法についても解説していきます。

 

後遺障害による逸失利益とは

後遺障害による逸失利益とは、交通事故で後遺障害を負ったことにより、失われた、将来得ることが見込まれていた利益のことを言います。

つまり、後遺障害を負わなければ得られたであろう収入総額と、後遺障害を負った状態で得られる収入総額との差額のことです。

 

たとえば、後遺障害を負わなければ年間500万円の収入が見込まれていたのに、後遺障害を負ったばかりに3年間は年間400万円の収入しか見込めないという場合の逸失利益は、年間100万円×3年間=300万円となります。

 

後遺障害による逸失利益の算定方法

後遺障害による逸失利益の算定方法について見ていきます。

 

基本となる計算式

後遺障害による逸失利益を算定する基本となる計算式は次のとおりです。

 

基礎収入×労働能力喪失割合×喪失期間のライプニッツ係数

 

以下では、それぞれの項目について詳しく解説します。

 

基礎収入

基礎収入は、被害者の職業などにより算定方法が異なりますが、基本的には、休業損害における基礎収入に準じたものとなります。

 

ここでは、それぞれの職業ごとに基本的な算定方法を紹介します。

  • 給与所得者~事故直前3か月間の平均収入
  • 事業所得者~事故直前の申告所得額
  • 会社役員~役員報酬のうちの労務提供の対価部分
  • 家事従事者~学歴系・女性全年齢平均賃金
  • 無職者~就労の蓋然性がある場合には、年齢や失業前の実収入から蓋然性の認められる範囲
  • 幼児、学生~学歴計・全年齢平均賃金

 

労働能力喪失割合

労働能力喪失割合とは、後遺障害によって、労働能力がどの程度の割合で失われるのかという数値です。

 

労働能力喪失割合は、労働省労働基準局通牒を基準としつつ、障害の部位・程度、被害者の性別・年齢・職業などを総合的に考慮して決定されます。

参照:労働省労働基準局通牒

 

労働能力喪失期間

労働能力喪失期間とは、どの程度の期間、労働能力喪失割合に応じた労働能力が失われるのかというものです。

原則として、未就労者については、18歳から、現に就労している者については現在の年齢から67歳までの期間が労働能力喪失期間となります。

 

ただし、むち打ち症の場合には、67歳までではなく、後遺障害の等級に応じて、12級であれば5年から10年、14級であれば2年から5年が労働能力喪失期間とされます。

交通事故による慰謝料などの具体例

今回は、具体的な事例をもとに、どのような賠償を受けることができるのかを解説していきます。

 

事例

Aさん(30歳・会社員・年収500万円)は、自動車を運転中、赤信号で停車した際に、後方から進行してきた車両に追突され、頚椎捻挫などの怪我を負った。

その後、Aさんは、病院での通院治療を継続し、6か月後に症状固定の状態となり、後遺障害12級の認定を受けた。

 

治療費

この事例でAさんは、症状固定までの通院で発生した治療費の賠償を受けることができます。

通常、治療費は、保険会社から病院などに直接支払われるため、Aさんが示談の際に治療費を直接受け取ることはありません。

なお、Aさんが症状固定後に通院した場合の治療費は自己負担となります。

 

交通費

Aさんが通院のため公共交通機関を利用していた場合、その料金を交通費として受け取ることが可能です。

自動車で通院していた場合には、距離に応じて計算されたガソリン代が交通費となります。

タクシー代は原則として認められません。

 

入通院慰謝料

6か月間の通院実績に応じて通院慰謝料が支払われます。

通院慰謝料には3つの算定基準があります。最も高い基準である裁判基準では、頚椎捻挫によるむち打ち症で6か月通院した場合の通院慰謝料は89万円です。

 

後遺障害慰謝料

後遺障害12級の後遺障害慰謝料は、自賠責基準で224万円、裁判基準では280万円となります。

 

後遺障害による逸失利益

Aさんの年収は500万円であるため、Aさんの基礎収入は500万円となります。

後遺障害12級の労働能力喪失率は、14%です。労働能力喪失期間は、頚椎捻挫によるむち打ち症の場合、67歳までではなく、5年から10年の範囲内となりますが、ここでは7年として計算します。

30歳から37歳まで7年間に対応するライプニッツ係数は、6.2302です。

これを計算式に当てはめると、

 5000000 × ( 14/100 ) × 6.2302 = 4,361,140円

となり、後遺障害による逸失利益の金額は、4,361,140円となります。

 

まとめ

今回の事例で、Aさんは、通院慰謝料89万円、後遺障害慰謝料280万円、後遺障害による逸失利益約436万円と、この3項目で合計805万円の賠償を受けることができます。

 

しかし、この金額はあくまで弁護士など専門家に交渉を依頼した場合の最大限の金額です。同じような事例で、自身が提示された金額と大きな開きがある場合には1度弁護士などの専門家へ相談されることをおすすめします。

物損ではどのような請求ができるのか?わかりやすく解説

交通事故で、自動車が故障してしまった場合、物的損害(物損)として、加害者に自動車の修理費用などを請求することができます。

物損は、自動車の修理費用には限定されるものではありません。この記事では、物損として請求できるものにはどのような種類があるのかについて解説します。

 

車両修理費等

物損と聞いて先ず思い浮かぶのが車両修理費です。車両修理費の請求パターンとしては、全損の場合と一部損傷の場合とで大きく2パターンに分けることができます。

 

全損の場合

全損とは、車両が修理不能の状態となった場合、もしくは、修理費用が車両の時価額を上回る場合のことを言います。

車両の時価額は、車種、年式、走行距離等から同等の車両を中古車市場で調達可能な価格となりますが、実際に同等の車両を入手するのは難しい点も多く、全損の場合には納得のいく賠償を受けられないことも多いです。

また、車両の買い替えのために必要な諸手続費用も、必要かつ相当な範囲内で認められます。

 

一部損傷の場合

車両の修理費用が時価額を下回る場合には、必要な修理費用の賠償を受けることができます。

 

評価損

車両については、修理をしても事故歴などにより商品価値が下落してしまうこともあります。その場合には、損傷、修理の内容や車種等を考慮して評価損が認められます。

ただし、高級車でない限りは評価損が認められるケースは少ないです。

 

代車使用料

事故による車両の修理や買い替えのために代車を使用しなくてはならなかった場合には、代車使用料が認められます。

もっとも、代車使用料は無制限に認められるものではなく、代車使用が必要な期間に限って請求することが可能です。つまり、被害者側の事情で修理や買い替えの手続きが長引いている場合には、修理や買い替えに通常必要な期間を超える代車使用料については加害者に請求できず自己負担とされる可能性があります。

 

休車損害

事故に遭ったのが営業用の車両の場合、その車両の修理や買い替えに必要な期間について、営業を継続していれば得ることができたであろう利益が休車損害として認められます。

ただし、代車などを使用してその間に営業ができた場合には休車損害は認められません。

 

その他

その他、車両の保管料、レッカー代、廃車費用なども、損害として認められます。

ただし、物損についての慰謝料は、事故に遭った車両が思い入れのある限定車両であったなどの特別な事情がない限りは認められません。

交通事故の慰謝料の基準について

交通事故で入通院が必要となってしまった場合には、示談の際に入院や通院の期間に応じた入通院慰謝料を受け取ることができます。

実は、この入通院慰謝料には3種類の支払い基準が存在しています。加害者の任意保険会社から入通院慰謝料の提示を受ける場合には、「任意保険基準」という基準で計算された入通院慰謝料が提示されますが、法律上は提示された金額よりも多くの金額を受け取れることが多いです。

今回は、入通院慰謝料の3種類の支払い基準について解説します。提示された賠償額が適切なものであるのかが気になる方は、参考にしてみてください。

 

3つの支払い基準

交通事故被害者の多くは、保険会社から提示された金額に特に疑問を抱くこともなく示談書にサインしてしまいます。

しかし、交通事故で入院や通院での治療をしていた場合に支払われる「入通院慰謝料」と呼ばれる賠償金には3つの異なる支払い基準が存在しています。その3つの支払い基準は、入通院慰謝料の金額が低い順に「自賠責基準」、「任意保険基準」、「裁判基準」と呼ばれています。

 

通常の場合、保険会社から提示されるものは、「自賠責基準」もしくは「任意保険基準」で計算された入通院慰謝料です。「裁判基準」というのは、その名のとおり、裁判となった場合に支払われる入通院慰謝料の金額の基準ですから、法律上では裁判基準の金額が本来賠償されるべき金額と言えます。

つまり、保険会社から提示された金額を前提として示談を進めると、本来賠償されるべき金額を受け取ることができず、多くの人はこれに気付くことなく示談してしまいます。

 

「裁判基準」で示談を進めるためには、弁護士などの専門家に依頼して示談交渉を行うことが必要です。弁護士特約を利用すれば、弁護士費用を心配することなく裁判基準での示談交渉をすることができるので、利用をおすすめします。

 

賠償金額の具体例

たとえば、交通事故でむち打ち症になり病院で半年間の通院治療を受けていたというケースでは、「任意保険基準」だと60万円程度となることが多いですが、「裁判基準」だと約90万円となります。つまり、任意保険基準と裁判基準とでは30万円もの差があるのです。

怪我の程度が重かったり、通院期間が長くなったりすると、「任意保険基準」と「裁判基準」の差はさらに大きくなります。

 

知識なく示談を進めてしまわないよう、自身が提示を受けた入通院慰謝料の金額が適切なものであるのかには十分に注意しましょう。

日弁連交通事故相談センターとは?

交通事故の問題を解決するための方法はいくつかありますが、その中でも昨今注目が集まっているのが、ADRと呼ばれる裁判外の紛争解決です。

 

こうしたADRのうち交通事故に関する機関は交通事故紛争処理センターがありますが、今日は日弁連交通事故相談センターについて解説します。

 

日弁連交通事故相談センターとは

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日弁連交通事故相談センターとは、日本弁護士連合会(日弁連)が設立した交通事故に関する問題を専門的に取り扱う機関です。

 

日弁連が設立した機関のため、運営は弁護士が行っており、弁護士から専門家としての中立的な立場から意見を求めることができるというのがこの機関を利用する上での大きなメリットです。

 

日弁連交通事故相談センターで相談できること

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相談の対象は、簡単に言うと日本国内の自動車や二輪車の事故と自転車事故に関する損害賠償関係に関する問題が対象となっています。

 

例えば、交通事故で被害に遭った場合の後遺症の慰謝料額について保険会社や加害者との間でまとまらない場合などがこういった場合として想定されます。

 

注意が必要なのは、日弁連交通事故相談センターは原則として事故の当事者本人からの申し立て以外の場合には利用できないという点です。

第三者からの依頼は受け付けていないため、ケガをして身動きができないような場合にはまずは回復してからの利用となります。

 

利用の流れ

実際に利用する際の流れについては以下の様になります。

  1. 資料準備
  2. 面接相談
  3. 相談弁護士による示談斡旋の適否の判断
  4. 示談斡旋の申し込み
  5. 示談斡旋の実施

 

以上のような流れで解決策の提示を受けることができます。

 

注意したいのはいきなり示談斡旋を受けるということはできないという点です。

まずは相談を行い、相談を受けた弁護士が示談斡旋に適していると判断して初めて示談斡旋を受けることができるという点です。

 

なお、示談斡旋までに至らなくても相談だけでも利用は可能です。

 

日弁連交通事故相談センターを利用するメリット

日弁連交通事故相談センターを利用するメリットは無料で中立的かつ交通事故について豊富な実績を有する弁護士からのアドバイスを受けられるという点です。

 

特に無料であるというのは大きなメリットです。

最近では弁護士への相談は初回無料という事務所が増えてきましたが、日弁連交通事故相談センターでは面接相談を5回まで無料で受けることができます。

 

また、示談斡旋についても特に費用がかかりません。こうした費用面でのメリットは日弁連交通事故相談センターを利用する最大のメリットです。

法テラスとは?分りやすく解説

交通事故の被害に遭ったが、保険会社がこちらの言い分を全く聞いてくれないというケースを体験された方は以外といらっしゃるのではないでしょうか。

 

こうした場合に相談先として考えられるのが弁護士です。

しかし、弁護士に相談すると費用などが心配になる方もいらっしゃるでしょう。

 

そこで今回は経済的に弁護士等を利用する事が難しい場合に国が用意している制度である法テラスについて解説します。

 

法テラスとは?

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法テラスとは経済的な理由で弁護士などへ相談できない方を支援するために設けられたもので、弁護士費用だけでなく司法書士への相談料も扶助の対象となっています。

 

国が設立した機関で、利用者にとっての最大のメリットは相談費用を抑えることができるほか、弁護士費用などを分割払いすることができるという点が挙げられます。

 

法テラスを利用すると受けられるサービス

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法テラスを利用すると以下の様なサービスを受けることができます。

 

①無料法律相談 ②弁護士費用扶助 無料法律相談については1回30分で3回までが対象となります。

また、弁護士費用扶助については、先ほど少し触れたように弁護士費用を分割払いできるというのがこれに該当します。

 

もう少し詳しく説明すると、一時的に弁護士費用を法テラスが立て替えてくれ、その後で分割払いで支払っていくという流れになります。

弁護士費用は比較的高額になりやすいので、分割払いにすることで出費を抑えることができるというのは大きなメリットと言えるでしょう。

 

法テラスの利用条件

法テラスは誰でも利用できるわけではありません。

以下の3つの条件を満たす場合に法テラスの利用は可能です。

  • 収入・資産が一定以下であること
  • 勝訴の見込みがないとはいえないこと
  • 民事法律扶助の趣旨に適していること

以上のような条件を満たしていることが必要になります。

特に重要なポイントになるのが一つ目の条件です。

 

これは、法テラスが経済的に弁護士を利用できない方を対象としているための条件です。 具体的には、同居人数が1人の場合に手取りの月収が18万2000円以下(東京、大阪の場合には20万200円以下)であればこの条件に該当します。

 

なお、この計算に当たっては住宅ローンや家賃についても考慮ができる事となっています。詳細は法テラスのホームページを確認してみましょう。

 

法テラスのデメリット

法テラスを利用する事はメリットばかりではありません。

最大のデメリットは担当する弁護士などが必ずしも交通事故の問題に詳しくない可能性があるという事です。

 

というのも法テラスは登録している弁護士を自分で選ぶか、法テラス側が選んで依頼する流れになるため、選んだ弁護士が交通事故に詳しくないケースもあり得るためです。

費用面に不安のある場合には、交通事故に詳しい専門家に相談した上で、費用面も併せて相談してみましょう。